【ガタイのいい男性が歩行困難に】

 

 

女性は「冷え」に気をつけている方も多いのですが、男性は無防備な方が多い印象があります。

男性の冷え症も怖いなと思った症例があるので、お話ししたいと思います。

 

30代男性。

遠洋漁業の漁師さんで、端正な顔に筋肉隆々。

いわゆるガタイのいいマッチョ系男子。

 

主訴は、歩行困難。

 

2ヶ月前から足に力が入りにくくなり、ふらふらして、時に転倒しそうになるので、近くの整形外科と脳神経外科を受診。

 

しかし原因不明のため、大学病院を紹介された。

神経伝達はもちろん、様々な精密検査を受けたが、異常はなく、原因は不明。

複数の医師から「なぜ歩けないのか、わからない」と言われ、途方に暮れる。

 

その後、鍼灸院や整骨院のほか、整体やカイロプラクティックにも通ったが、改善は見られなかった。

 

今回は、知人の紹介で、片道2時間をかけて当研究室まで来られた。

歩行に自信がなく、一度帰ると改めて訪れるのが大変なので、近隣のホテルに泊まり、二日間連続で治療を受けたいとのご要望だった。

 

病院で受けられるだけの検査を全て試して原因不明、代替療法をさまざま受けても症状は軽減せず、健康食品、サプリメントも全く効果なし。

 

正直、私も???

 

ただ、ひとつだけ気になる事があった。

 

それは患者さんの服装。

 

夏とはいえ、まだ七月の頭。

そこまで暑くもないのに、ノースリーブに短パン。

クーラーで寒いと評判のJR特急に2時間。

 

村「家から、ずっとその格好ですか?」

患「はい」

村「電車の中は寒かったでしょう?」

患「いいえ、大丈夫でした」

村「同じ方面からの患者さんは上着がないと耐えられないと言ってましたが」

患「寒いのは慣れているので」

村「慣れ?」

患「仕事柄、冷凍庫に入ったり出たりなので」

 

もしかすると「冷える」ことに慣れすぎていて、ご自身の「冷え体質」が分からなくなっているのでは?と考えた。

 

冷え改善の施術を積極的に行い、1日目の治療は終了。

劇的な改善は見られないものの、なんとなく手応えを感じた。

 

翌日、初診時のふらふらとした歩行がわずかに軽減したように見えたので、自覚できるかを尋ねたところ、「自分では分からない」との返答。

 

1日目より刺激量を上げたが、2日目もほぼ同じ施術を行なった。

明白な改善は見られず、私としても少し残念な気持ちで治療を終了した。

 

それから2ヶ月後。

 

その患者さんから治療予約が入った。

 

あれから、どのような経過を辿ったのか?

私としても大変興味があった。

 

そして治療当日。

 

驚いたことに、姿勢良く、力強く歩く患者さんが現れた。

 

村「まるで別人ですね!良かった!」

患「先生のおかげです。本当にありがとうございました」

村「えっ???」

患「今日は、お礼も兼ねて伺いました」

 

患者さんの話によると、治療後、2、3日経った頃、足に力が入る感覚が戻り、その後みるみる歩けるようになったそうだ。

今は走ることもできると言う。

 

何よりも嬉しいのは、2歳になる娘を抱いたまま歩けること。

当時は、もう二度とそんなことは出来ないかもしれないと絶望して、どん底の気持ちだったそうだ。

 

まさか、そんなことになっていようとは、治療した私も全く想像しておらず、嬉しいやら驚いたやらの気持ちになった。

 

その日は、改めて冷え改善の治療を施し、経過良好で「治癒」とした。